昭和のはじめ、山形県の豪雪地帯・西川町大井沢の診療所で、地域医療に尽くした医師・志田周子(しだちかこ 1910~1962年)の生涯を映画化しようと、地元有志が中心となって広く募金を呼び掛けています。
引用文:YOMIURI ONLINE
県内有数の豪雪地帯・西川町大井沢の診療所で、地域医療に尽くした女性医師の志田周子(ちかこ)(1910~1962年)の生涯を映画化する事業が、町や地元の有志などによって秋から始まる。約1年かけて地元で撮影が行われる予定で、関係者は志田の業績に光をあてるきっかけにしたいとしている。
http://www.yomiuri.co.jp/local/yamagata/news/20140730-OYTNT50569.html
志田周子は明治43年(1910年)、西川町大井沢に名家の長女として生まれます。東京女子医学専門学校(現東京女子医大)を卒業後、25歳で当時村長を務めていた父の要請で無医村だった大井沢村で働き始め、当初は3年の約束だったのが、母の死をきっかけに「この雪深い地に生涯を捧げよう」と地域医療に尽くすことを決心します。
当時、村にはまだ祈祷師による民間療法も一部に残っていたそうで、近代医学を修めた志田を訝しく思う者もいたといいます。しかし子供が連れてきた病気の猫を治したことから村民の信頼を集めるようになり、以後51歳で世を去るまで幾多の困難を乗り越えながら医療活動にあたりました。その功績が認められ、1959年には保健分野の最高賞といわれる「保健文化賞」を東北で初めて受賞。また村議や町議も勤め、歌人としても歌を遺しました。
今回の映画化は、そうした志田の功績を再評価し、地域おこしや県の活性化につなげようと、地元有志で結成された「志田周子の生涯を銀幕に甦らせる会」が中心になって進められます。年内クランクイン、来年クランクアップの予定で、資金は映画化に賛同する個人・団体から募金を募り、今後は町の支援や文部科学省の補助金なども得て捻出していくそうです。医師不足が深刻な社会問題となる中、映画を通じて志田の志を受け継ぎ、地域医療・へき地医療に取り組む医師が一人でも多く出てきてくれることを期待したいですね。
・「志田周子の生涯を銀幕に甦らせる会」HP
http://www.sidachikako.com/index.shtml
・同 募金詳細